点検はどのように行われているのか

非常電源(自家発電設備)を設置している建物は、そのほとんどが一定以上の規模をもつ建物です。
これらの建物の多くは、非常電源(自家発電設備)を含む消防用設備の維持管理を、その他の設備の維持管理と合わせて、専属のビルメンテナンス会社に委託しています。

ビルメンテナンス会社では一般的に、非常電源(自家発電設備)に対して日常点検や月次定期点検を義務づけている電気事業法に則って点検し、6ヶ月に1回消防法に則った機器点検をしています。

1年に1回の消防法に則った総合点検の際に、電気事業法の年次定期点検や建築基準法の外観検査・性能検査をはじめとする他のすべての点検を兼ねた、入念な点検を実施しています。

消防法の総合点検では、非常電源(自家発電設備)に関して、「運転状況について擬似負荷装置又は実負荷等による定格回転速度及び定格出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転を行い点検する」ことが義務づけられています。

実際に負荷運転点検を行っているビルメンテナンス会社では、負荷運転点検について自社の資格者が行う場合や、自家発電機メーカーの系列保守管理会社、自家発電機メーカーの代理店や特約店、専門の点検施工会社が行う場合があります。

というのは、ビルメンテナンス会社は普通、擬似負荷装置を所有していませんから、全館停電をして実負荷運転点検をするか、高額費用負担して擬似負荷装置を使う負荷運転点検を外注するわけです(もっともこれは正しく負荷運転点検を実行している建物の話です)。

非常用電源とくに自家発電設備の、「定格回転速度及び定格出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転を行う点検」は、実負荷でも擬似負荷でも大掛かりで、緻密さと長時間を要す難しい作業なのです。

そのうえ、点検を行うことができるのは、電気主任技術者か電気工事士か又は自家発電設備専門技術者試験合格者だけという、知識も技術もともに高い水準を求められる点検なのです。

ですから、おのずと点検に要する費用が高額になるわけですが、だからといって負荷運転点検を省くことは許されません。
負荷運転点検が正しく行われている建物が、実施義務のある建物全体の1割にすぎないといわれている現状が憂慮されます。

ただし、新たに開発された擬似負荷装置は軽量コンパクトで、自家発電設備の間近に設置できるため短ケーブルで点検ができ、場所も時間も人員も軽減できるので費用が大変安価になったといわれています。
負荷運転点検を実施する予定で、全館停電はさせたくない、かといって高額過ぎる擬似負荷装置の点検に逡巡していた方には、今が好機かも知れません。