なぜ防災設備点検を行うのか

阪神淡路大震災でも東日本大震災でも、防災設備等の不備による2次災害、特に火事の発生にともなう消防用設備等の非機能が起きました。
消防用設備等の非機能は、それを機能させるはずの非常電源(自家発電設備)が「不始動」や「異常停止」してしまったためでした。

東日本大震災の非機能自家発電設備 原因別台数

不始動 異常停止
故障・設備異常 3 12 15
断水(水系統の損傷等) 1 9 10
燃料系統の故障・異常 1 3 4
潤滑油系統の故障・異常 3 3
他設備の異常 1 6 7
メンテナンス不良 7 16 23
操作ミス 1 4 5
その他 7 7
不明 3 3
17 60 77

(一般社団法人日本内燃力発電設備協会調べ)

その「不始動」や「異常停止」の原因別台数で、「メンテナンス不良」に起因するものが最も多いことが判明したのです。
メンテナンスを正しく実施していたら「不始動」や「異常停止」を起こさないということです。
この反省から、法令遵守はもちろん人道尊重の面からも防災設備等の点検に関して、実施徹底がますます求められるようになったのです。

防災設備等とは、消防法でいう消防用設備等や建築基準法でいう防火設備を含めた、防災のための設備全般を指す用語です。

この防災設備等の一つである、非常電源(自家発電設備)については各種の法令で、指定の建物に対し設置義務と維持管理のための点検義務が設けられています。
特にデパートやホテルなど不特定多数が利用する施設をはじめ、幼稚園や老人ホームなど災害弱者の方々が利用する施設は、災害時に安全安心で確実な避難が求められ、その担保としての意味があります。

非常電源(自家発電設備)の点検を義務付ける法令には、消防法、電気事業法、建築基準法の3つがあります。
「消防法」では、特定防火対象物・非特定防火対象物・その他の防火対象物に分け、消防設備士又は消防設備点検資格者による、6ヶ月に1回の機器点検と1年に1回の総合点検を義務づけています。
また特定防火対象物は1年に1回、その他は3年に1回の報告を義務化しています。

「電気事業法」では、事業用電気工作物・一般用電気工作物に分け、電気主任技術者又は電気工事士等による日常と月次と年次の定期点検を義務づけています。
年次点検では停電による点検が義務化されています。

「建築基準法」では、建築士又は防火設備検査員等による6ヶ月~1年に1回、外観検査と性能検査、及び報告を義務づけています。

地震や火災時の多くの場合、電線から送電される商業電源が停電してしまいます。
折角装備されている非常警報器やスプリンクラー、避難口誘導灯や室内消火栓も、それを稼働させる肝腎かなめの電力がなければ、何ら機能しません。

そんなことが起きないよう、停電のとき速やかに取って代わる非常電源(自家発電設備)が重要な働きを担っているのです。
ですから、非常電源(自家発電設備)の点検は、特別大切なものといえるのではないでしょうか。